ゴリラへの憧憬3 ~折れた手首、健康的な足~
相変わらず左手首は痛い。
2ヶ月前に手術を要するような骨折をしているのだから、未だ痛みが残るのは至極当然ではあるのだが、やはり痛いものは痛い。
ゴリラであっても骨が折れれば痛みに悩まされるであろう。
野山を駆け回りバナナを頬張ろうにも腕が痛くてはなかなかに難しい。
何より、ゴリラがゴリラたる動作である胸を叩くあのドラミング。
手首が痛かったらあれをやろうにも
「ウホッ!」
(ドンドン!)
「ウッ・・・」
と毎度悶絶してしまうだろうし威嚇された相手にも気遣われてしまう。
ゴリラは力の象徴であるとともに、骨折を気遣える優しい生き物。
痛いなら痛みを感じずにドラミングをするにはどうすればいいのか。
困窮は古くから発明の大切な動機だ。
手が痛い中でドラミングしたい、ウーホウーホウーホドンドン!とリズムを刻み期待感を演出したい、それが私のシン・ゴリラだ!とかのたまいたい。
腕が使えないなら、足を使えばいいんじゃないか。
ライバルと対峙するゴリラが、おもむろに腰を下ろし右手と両足を使ってドラミングする。
だらりと下がった左手は剣呑であり、両足を使ったドラミングはただただ狂気にまみれている。
狂気に気圧されたライバルはただ遁走するばかりである。
ジャングルにルールなんてないんだ。
気狂いゴリラの話を私に適用してみよう。
私は別にドラミングをしないしバナナも美味しく食べているのでなかなかに適用は難しいが、手が使えないなら足を使うということはしっかりと適用できる。
私とゴリラの共通性がなせることである。
と、いうわけで、筋トレってほどじゃないですが、帰宅時に1駅分歩いてから帰るようにし始めました。
本当に筋トレってほどじゃないし、なんならダイエットの代表的な手法ですね。
ポニョからゴリラじゃなくてポニョからガリになりそうですが、運動しないよりはした方がましかなと。
ビリヤードやってると台の周りをぐるぐるまわったり、撞く際に体を安定させるために下半身を緊張させたりするので、足の筋肉があって困ることはない。
ガリになるのかゴリラになるのか単なる気狂いポニョに留まるのか、どれにだってなれる未来に希望を抱きながら今日もコンクリートジャングルを駆け巡り300グラム1000円のステーキを頬張っていく。
ただ、エンゲル係数だけが高まる夏の日の午後。