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球を撞いた記録と日々思うことと。ビリヤードがメインのブログです。

ビリヤードと賭博と法律~賭球・ハウストーナメント~

当ブログでたまに書いているビリヤード業界に法律を関係させた真面目なお話シリーズ。

私は法律の専門家ではない、厳密には工業所有権以外の私法や公法には関係がない身なので、当ブログの法解釈が正しい可能性は決して高くないのですが、そこは個人的見解ですっていうアレです。

今回は、当たり前の話から業界に対して物申したいところまである賭球やハウストーナメントに関係する法律の話です。

 

 

 

前提:私の法律理解の程度

過去の飲食店全面禁煙の記事や、消防法関係の記事を読んでいただければ、私が法律に対してどれくらいの理解がある人間なのかは伝わるかな、と思います。

 

 

ざっくりいえば、ネットで閲覧可能な情報をかき集めて理論的に理解することは6割方できていそうなものの実際の法律の運用に係る部分までは理解していない、といった具合です。

 

賭け球やハウストーナメントに関係する法律

代表的なものは刑法第185条の賭博罪、ハウストーナメントになると賭博罪に加えて不当景品類及び不当表示防止法、いわゆる景品表示法が関係します。

 

賭博罪とは

賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処される。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたに留まるものは不処罰とされる。

 

法律なので、賭博って何か、一時の娯楽に供する物って何か、というところがパッと見よくわからないものですが、メジャーな刑法ですからそれはもうしっかりと解釈も判例もあるわけで。

 

賭博罪が成立するためには、当事者双方が損をするリスクを負う必要があります。

なので、ビンゴ大会みたいな主催側が一方的に損して参加者は外れても何も損しないような場合はセーフです。

 

また、一時の娯楽に供する物について、低額なら現金でもセーフという話をたまに耳にしますが、そんなことはありません。

一時の娯楽に供する物とは、判例・通説によれば缶ジュースや食事等を指しており、大体1万円程度までだそうです。

これらを購入するために消費される現金はセーフですが、現金支給のみは1円でもアウトです。

 

ちなみに、商品券とかってどうなのか、というきわどい話について、私にはわかりません。

過去の新潟県警が図書券で賭けマージャンやってたっていう事例を論拠にセーフとする話を目にしましたが、より詳しく調べてみたら下記サイトに辿り着き、どうやら違うといった結論になりました。

 

 

図書券は、県警本部長が私費で購入し、満貫以上のアガりに対するご褒美として一方的に提供していた、という話だったので、図書券だからセーフではなく図書券の提供が賭博に該当しなかったからセーフという結論でした。

 

景品表示法とは

景品が不当だったり過大だったりすると消費者に不利益になり得るからそういうことは辞めましょうね、という法律です。

景品表示法でビリヤードに関係するのは一般懸賞の話で、特定行為の優劣等によって提供する景品類について、下記のように決められています。

 

  • 懸賞による取引価格が5000円未満:上限は取引価格の20倍
  • 懸賞による取引価格が5000円以上:上限は10万円
  • 懸賞の総額:懸賞に係る売上予定総額の2%

 

(引用:景品規制の概要|消費者庁

 

「懸賞による取引価格」がハウストーナメントの参加料に当たると思われます。

10万円が上限、という大きい試合が多い理由に納得がいく瞬間です。

 

賭球ってセーフなのか

ここまで読んでくれば自明ですが、お金をやり取りしたらアウト、飲み物とかならセーフ、それだけです。

この辺りはやってる人もやっていない人もみんなわかっているのではないでしょうか。

 

ハウストーナメントはセーフなのか

まず、本記事で書いていきたいのはこの話。

 

先日もTwitter上でセーフなのアウトなの議論をしたのですが、より詳しくまとめていこうと思います。

 

ハウストーナメントのシステム

ハウストーナメントは、参加する際にいくらかの参加料(エントリーフィー)を払います。

そして、試合を行い、ベスト8だったりベスト4になるとフィーバック、そこよりも上の順位になると参加料よりも多い金額を獲得、というのが一般的です。

また、大会によっては賞金ではなく賞品になったり、賞品の提供元が第三者の企業になったりします。

 

賞金と参加料の関係次第で賭博罪に該当する

参加料がすべて会場使用料として充てられ、賞金に一切関与していない場合には、景品表示法の範囲内の金額ならセーフです。

一方、参加料が賞金に回っている場合には、賭博の構成要件を満たしてしまうので賭博罪でアウトです。

この辺り、仮に問題になった際にどうやって会場使用料の身に充てていると証明するのか一切わからないのですが、賞金が参加者の人数によって変動する場合には言い逃れできないような気がしています。

 

賞金や商品が第三者提供なら賭博罪はセーフ

試合会場とは違う第三者の企業や人から提供された商品券が賞品といった具合でしたら、参加料を徴収していても賭博罪には該当しません。

ただ、このケースでスポンサーになることが多いのがビリヤード用品でおなじみの某社なのですが、某社がビリヤード関連企業であることを考えるに、景品表示法に関係するんじゃないか、という懸念があるのですが、よくわかりません。

仮に関与する場合には上記の景品表示法における懸賞の範囲内の賞品である必要が出てきます。

 

商品券が自社提供の場合はグレー

規模が大きく、プレイヤーの育成に力を入れている志が高いお店でちらほら目にする当店で使える商品券が賞品ですスタイル。

上述した通り、商品券が「一時の娯楽に供する物」に含まれるのかどうかは不明であることから、仮に含まれない場合は参加料がちゃんと会場使用料のみに充てられていることを証明できるようになっている必要があると思われます。

こういった形態の試合についてパッと調べてみた限り、商品の額が固定、参加料も会場使用時間対比で低額だったので、おそらく参加料がすべて会場使用料のみに充てられていると証明できるだろうからセーフといった印象です。

個人的には、ビリヤード場の会場使用料なんて胸先三寸であってないようなものだからアレだなとは思いますが。

 

よくないことは公表しないべきではないか

ここまでつらつら書いてきて何が言いたかったっていうと、別にすべての賭球、ハウストーメントでの賞金を廃止せよなんてことじゃないんです。

こういったことがあるというのはよろしくないけども古くから続く暗黙の了解ですし、賭け事一般について、警察も「ケースバイケースで判断する」と述べており、いかなる賭け事も取り締まるわけではないですから。

 

私が言いたいのは、グレーだったりブラックだったりする賭球、ハウストーナメントの賞金について、インターネット上、特にSNS上で報知、示唆する内容をビリヤード業界に身を置く人間が書くんじゃないよってことです。

 

5-9、ジャパン、ピン倒しは書かない方がいい

賭球の隠語というか、賭ける際にやる種目の代表例が5-9とジャパンで、これらの種目で点数を倍増させるために使われるのがピンという相場ですが、これらをやったであったり何点勝ったであったりみたいな話について、業界に身を置く人間が何故書く必要があるのでしょうか?

点数を競った先で何もしていない、と言い訳が立つと考えているのかもしれませんが、種目にべったり付いている賭球のイメージが悪すぎます。

アウトローな雰囲気がある限り業界に先はなく、そういったイメージを払拭していくのは業界にいる人間の使命というか、生き残っていくうえで当然のことだと思います。

 

春先だったような気がしますが、某プロがSNSでプロ同士でピン倒しをやったと記載し、法律に詳しいアマチュアがガンギレしていたことを思い出します。

こういったときにアマチュアではなくプロ同士での自浄が働く(あれはダメだよとそっと伝えて投稿を消させるとか)ようにならなければいけないのではないでしょうか?

 

ハウストーナメント結果写真にポチ袋を写さない方がいい

上述した通り、参加料と賞金の関係次第では賭博罪が適用され得るのですから、賞金が提供されていることを示唆する画像を公表するっていうのはとてもよくないと思います。

別にポチ袋に何が入っているかについては誰も書いていないからセーフと思っているのかもしれませんが、そこに肩叩き券が入っているなんて思う純真な人間はいないわけで。

1位でにっこりしたり2位でしょんぼりしたりしている参加者の写真だけで十分じゃないですか。

 

まとめと参考にしたサイト

ビリヤードに付きまとう健全ではないイメージが、ビリヤードを普及するうえで足枷になっていることは自明です。

せっかく健全でおしゃれなスポーツであるといった流れも少しずつできてきているのですし、こういった流れをより活性化しビリヤードを普及させた方がいいのではないでしょうか。

ビリヤードが今以上に普及されなければビリヤード業界で生きていくことは極めて難しくなってしまいますが、既にビリヤード業界で生きている人が自ら足枷をはめていくというのは、好ましくないです。

私は業界の外にいる1アマチュアプレイヤーに過ぎない人間ですが、健全に発展し、そしてみんなが楽しくビリヤードに関係していければいいなと願うばかりです。

 

本記事の執筆に当たっては、国際カジノ研究所所長の木曽崇氏のヤフーニュースでの記事を主に参考にさせていただきました。

記事はeスポーツ関係の記事ですが、ビリヤードに置き換えてもとても参考になると思われます。