ビリヤードにおける疲労対策 ~ウィルパワーの消耗回避~
前回の記事で、最後の試合で体力尽きてガス欠になり、どうにもならなかったことを記載しました。
今回は、ビリヤードにおける疲労の影響(パフォーマンスの低下)についてや、疲労への対策について記事にまとめてみました。
疲れるとどういうことになるのか
目に見えてわかることから目には見えないけど後々尾を引くことまで、色々影響があります。
シュート力が低下する
ポケットビリヤードしかやらないのでキャロムの方はわからないのですが、ポケットの場合疲れてくると単純に球が入らなくなります。
例えば下図のような配置。
下を弱くしっかり撞けばよい、そんなに難易度が高くない配置ですが、これが何回撞いても入らなくなる。
1度や2度外すことはB級なのでありうることなのですが、10回撞いても入らないなんてことは疲れてなければ流石にない。
悪いイメージが定着する
シュート力の低下により特定の配置を何度も外すと、「あの配置、なんか嫌だな」というイメージが頭にこびりつく可能性があります。
こうなってしまうと、疲れていないときでも同じ配置で嫌なイメージが湧き、外しやすくなる恐れがあります。
フォームが歪む
疲れてくることで体が楽な姿勢を取ろうとしてしまい、フォームが歪んできます。
もともとビリヤードのフォームというものが普段やらない動作の塊なので、疲れてきて楽をしようとするとどうしても歪んでしまうものです。
歪んだフォームで撞き込んでしまうと、歪んだフォームが体に染みつく可能性が高いです。
フォームを頭を使って矯正している最中だったりすると矯正が台無しになるなんてことも。
また、腕を振りやすくするために左足が内側に入って体をクローズにしてしまい、体があさっての方向を向いてしまうことでフォームが歪む、という事例もままあります。
長時間撞いて調子が急に落ちた時は、左足の位置を確認するといいかもしれません。
疲労にはどういった種類があるのか
疲れた状態で撞くと目の前の結果も出ないしその日から先まで調子が悪くなるしでろくなことにならないものです。
なので、疲れてしまった場合には撞くのを止めてゆっくり休んだ方がいいのですが、長丁場の試合とかだとそういうことも言っていられません。
まずは、疲労の種類を抽出して、そこから対策を考えていきます。
筋肉疲労
私の場合、長時間撞くと左肩回りと両太ももに重さや痛みを感じることが多いです。
体重がかかる筋肉に負荷が強くかかっているのかな。
右腕についてはブレイク練習2時間とかしなければそこまで痛くなったりしません。
左腕については痛くならない人もいるのかもしれません。
長時間撞いてみてどこの筋肉が痛くなるかを調べてみるといいと思います。
なお、腰痛については複数の筋肉や色々なバランスの影響が強いと思うので、発生する場合には専門の医者に相談した方がいいと思います。
頭脳の疲労
ビリヤードは静止した状態で思考と選択を繰り返すスポーツです。
メンタリストのDaiGoさんの本で紹介されているようですが、選択する意志力、ウィルパワーというものは選択すればするほど消耗されるもののようです。
東洋経済の記事にもウィルパワーについてはまとめられていました。
ビリヤード中にどれくらいウィルパワーを消耗しているかについてですが、例えば、今の私は1回のショットを撞く際に以下のようなことを頭で考えています。
・どういったラインで出すか
・どこをどのような加減で撞くとイメージのラインになるか
・軸を作ってアドレスをとっているか
・アドレス時に頭を右側にしつつ腰を左側にひけているか
・左膝とみぞおちをやわらかく曲げてアドレスからフォームに移行できたか
・真っ直ぐ振れているか
・適切な撞点にキューは向いているか
・キュー先を手球に近づけられているか
・イメージした強さの加減にあったテイクバックになっているか
・テイクバックで体の内側に引いていないか
・フライングパイレーツのリズムでテイクバックからフォロースルーにつなげられるか
こんだけ頭を使って毎ショットしてたらそりゃウィルパワーがあっという間に枯渇します。
前回の記事に記載した最後の試合のときは、頭だけがわけもなく熱かったので頭脳の疲労が発生していた証左と思われます。
筋肉疲労の対策
まずは筋肉疲労の対策について。
これについては、文字にせずともなんとなく察しがつきそうではあります。
耐久力を強化する
耐久力が10しかない中で8の負荷がかかるから疲労状態になるわけで、耐久力が30あれば8の負荷がかかってもまだまだ元気。
わかります。
筋肉疲労については、この考え方が適切で、日ごろから長時間撞いたり肩、腕、足腰の筋トレをすることで補えるようにも思います。
私自身があまりにポニョでゴリラとは程遠いからビリヤードでの筋肉疲労に悩んでいるだけのような気が若干しています。
なお、疲れないフォームにする、については体が楽なフォームが真っ直ぐ振れるフォームとは限らないことと、真っ直ぐ振れていないフォームだと継続して撞きこんでいない限り調子のブレ幅が大変に大きくなることと、から、今回は取り入れない方向です。
週4とか週5とかをコンスタントに撞ける方は、多少の真っ直ぐさを犠牲にしても体に楽なフォームを見つけてみることもいいかもしれません。
頭脳疲労の対策
こちらについては、今回青木亮二プロからのアドバイスも参考にして考えてみました。
頭脳の耐久力をあげる
ウィルパワーも筋肉同様鍛えることができるらしいので、こういった解決法もあると思います。
朝活ビリヤードの時と、仕事上がりビリヤードの時と、でシュート力にぼちぼち差があったのですが、仕事で頭脳を消耗しているからという可能性が高いです。
例えば仕事で疲れてから撞く習慣にして、撞いた後にちゃんと休むようにすれば、頭脳の耐久力が上がるのかもしれない。
頭を使わずに撞けるようにする
当ブログでも「体得する」といった表現でよく記載していますが、考えずともできるようになれば頭が疲労することは減るはずです。
上述したフォームなんてのはまさにそれで、ラインのイメージと撞点、振り方の確認はしなきゃでしょうが他については考えずとも自然にできるようになりたいものです。
また、典型的なラインについてはある程度パターン化できると思われるので、考えるにしても思考プロセスを削減できるようにしたい。
頭脳の疲労回避例:どの球も簡単な真っ直ぐを撞く気分で撞く
先日、青木亮二プロにレッスンしていただいた際に、振りのある球でちょいちょい酷い外し方をする、といった内容の相談をしました。
この際に、青木プロから、
「色々考えるから力んで手球が変な回転になってスキッド等が発生して厚みがあってるの外したりもして、よくわからないことになりがちなので、簡単な真っ直ぐを撞くように振りのある球を撞けば、きれいな球になって的球も綺麗な回転となりポケットされる」
とアドバイスをもらいました。
例えば、下図のような配置。
これを何球かスパンッと撞いた後に、
この配置で撞いてみる。
狙いもそこそこに真っ直ぐを撞いたときの感覚で撞くと、不思議と入ります。
試しにやったら1発で綺麗にポケットされたので笑っちゃいました。
このとき、頭では「さっき撞いたあの感覚で撞こう」しか考えていないので、頭の工数削減が凄い。
頭脳の疲労回避例から考えられること
簡単にきれいに撞ける球のバリエーションを増やすことが大切なのかな、と思います。
上述した真っ直ぐについて、例えば6割くらいの力加減で中心を撞くのは気分よく撞けますが、3割の加減で逆押しとかになると苦手なわけで。
色々な力加減、色々な撞点で簡単に撞けるようになるとシュート力や頭脳の疲労の蓄積具合が変わるかもしれない。
まとめ
疲れてくると結果も出ないし悪いイメージや悪いフォームが染みつく可能性があるので、まだ撞きたい気分でも休むことがオススメ。
筋肉疲労については体を鍛えること。
頭脳疲労、ウィルパワーの消耗回避については、耐久力を上げることもいいけど根本的にウィルパワーを消耗しないで撞けるようになるために、反復練習でフォームやダシのパターンを体得することや簡単に撞ける球の種類を増やすことが大切。
簡単に撞ける球のバリエーション、まずは上下撞点と3~7割程度の力加減からやっていきます。